Prologue
生暖かく堂々と脈打つ枝川を私は勢い猛に押し流されていた。
息が止まる程の静寂と轟音を包囲しながら。
滑り落ち体が天地を忘れる時。私は一瞬鳥となり翼に受ける風が私の居所を指し示した。
また一瞬。
私は魚でありてらてらと光る水面が私に影を作らせた。
星の数程の選択と変転が私をいつか削り出す。
作品解説
私が、「ヒト」であることに、私は純粋に不思議と思える。
単純な分子。その「発現」と「複製」。
私達の住む、この惑星の46億年の歴史は遺伝子という図面を元に、恐ろしく複雑な世界を作った。
目眩を起こす程の長い歳月をかけて、私はどれ程の旅をしただろうか。
私が「ヒト」になるずっと昔。オゾンも、酸素も無い世界で。
強烈な環境の中、適応することを学び、不必要なものを捨て、必要なものと交わり、停止することのない変化を繰り返す。
遺伝子という船が疲弊し、壊れるまで意識する事の無い成長を続けるのだろう。
命の源流を遡るように、私達の来た道を感じてみたくなった。この一瞬が。
今在る私達という存在が、あたかも偶然に創造されたのではなく、
私達の創造を遥かに超えた存
在に突き動かされているならば、それが何者なのかを感じてみたかった。
過去は現在を指し示し、予期させる。光が輝き、直進し、私という存在を浮き上がらせるように。
*公演で使用した楽曲
1:Suite For Toy Piano - First & Second Movement [Joshua Pierce]
2:Bei Mir Bist Du Schon [The Poker Dots]
3:キックとスネアのバラード [Mu-Stars]
4:Preach [Otomo Yoshihide's New Jazz Ensemble]